復元工事記録

 

~復原工事と活用の内容について~
・復原完成予想図
●永楽館の復原工事について(平成20年夏完成)

永楽館は築後100年が経過しているため老朽化していますが、回り舞台、花道、桟敷席など芝居小屋としての機能をそのまま保持しています。復原工事にあたってはこれらをふまえ、指定文化財として歴史的・文化的価値を損なうことのないように工事を進めました。また、工事途中には随時見学会を開催しました。

●復原後の活用について

「芝居小屋」博物館として、観光客や市民の皆さんに建物の内外だけでなく、奈落や舞台機構を含めて公開し、歴史的建造物の魅力を体験していただきます。また、劇団や芸能団体などの公演、昔懐かしい映画の鑑賞会などを開催するとともに、永楽館を通じて全国の古い芝居小屋などと交流し、城下町出石のまちづくりに貢献したいと考えています。

 

~復原工事のあらすじ~
●目標

永楽館が芝居小屋として一番華やかしき頃の大正11年頃の姿に忠実に復原するとともに、現代の芝居小屋として活用するための諸設備を充実させることを目標に復原工事を進めました。

●復原工事の過程

仮設覆い屋の建設
永楽館全体をテントで覆い、風雨時に建物を守ります。
解体撤去作業 昭和25年に増築された北側部分や2階の映写室を撤去します。瓦や壁土もすべて撤去し、天井板や床板も一時剥がして骨組みだけを残します。
基礎工事 現存する基礎石を大切に残し、全ての床下にコンクリートを打ち、基礎石が動かないように固定します。
木工事 著しく傷んだ土台などの部材は取り替えますが、少々の傷みは繕いを施して再使用し、軸組に耐震的な補強を加えて、阪神淡路地震クラスに耐える構造とします。階段は昔の造りで6カ所、板張りの1階桟敷や広間を復原します。
屋根工事 瓦は全て新しい銀黒色瓦に葺き替えます。
左官工事 壁土ははがし取った古い土と新しい土を半々に混ぜ合わせます。新しい土は出石町桜尾の土を採取し、ワラスサと混ぜた後、昔ながらに半年以上練り合わせます。壁土下の竹も丈夫なものは再使用します。
建具工事 2階の窓は昔のようにヨロイ戸に復原します。昔の建具で残っているものは修理して使います。大半の建具が消滅しているので、昔風のデザインで復原します。
舞台機構 廻り舞台は忠実に復原して、当面人力で回転できるようにします。幕、音響、照明などある程度の内容で整備します。
防災設備 避電設備、自動火災報知器、屋内消火栓を取り付けて火災から守ります。誘導灯、非常放送、非常用照明、非常階段を設置して万が一に備えます。